Kentai BLOG

トレイルラン

100831.jpg 群馬県で開催されたトレイルラン大会に出場してきました。
高低差のある30kmコースは、かなりタフでしたが、景色が綺麗で、達成感もあり、
とてもすばらしい時間をすごせました。

 Kentai出町

 【おすすめ】 クエン酸ドリンク 

 

テニスの練習

100830.jpg 子供とテニスの練習をしました。
練習中はKentaiスポーツドリンク、練習後はボーイズプロテインを飲んでいます。

Kentai 中林

【おすすめ】  ボーイズプロティン  

レース

100827.jpg8月12~13日に冨士スピードウェイにて開催された「2010 K-4GP FUJI夏の耐久」レースにて、
AGY黒木レーシングの皆様が総合トップ、クラス優勝されました!
今回「BCAAシトルリンプラス」を車載し、レース中にも補給していただきました。
カラダがとても楽だったとのことです。
長時間のドライブでの集中力持続、スタミナ維持にもおすすめです。

Kentai 五反田

【おすすめ】 BCAAシトルリンプラス

夏祭り

100826-320.jpg
先日、近所の納涼夏祭りに行ってきました。
夜になっても納涼とはよべない暑さでしたが、夏を満喫しました。

Kentai江崎


【おすすめ】 スポーツキャンディー塩飴

祝!優勝  ビーチバレー尾崎選手・金田選手

20100825 .jpg8月19~22日に大阪府岬町淡輪のせんなん里海浜公園競技場にて開催された「ビーチバレー
ジャパンレディース2010」で、尾崎睦選手/金田洋世選手のペアが優勝されました。
今シーズン、2勝目と波に乗っているおふたりです。



20100825-02-320.jpg 尾崎選手・金田選手のインタビュー記事は、「Kentaiニュース192号」に掲載されています。
Kentaiニュースは、全国のスポーツショップなどで、無料配布中です。
また、Kentaiショップで会員登録された方には毎回Kentaiニュースをお届けしています。

Kentai 五反田

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サプリメントは寿命を縮めるか?

2007年3月の新聞に、「抗酸化ビタミンのサプリメントが寿命を縮める」という内容の記事が掲載
されました。
デンマークのジェラコビッチ(Bjelakovic)らが、アメリカ医師会雑誌(JAMA)に発表した論文
(vol. 297, 2007)に基づく報道でした。
今回はこの「サプリメント有害説」について、私たちの最近の研究結果も交えて考えてみることに
します。

サプリメントの本質は何か
報道された研究は、抗酸化ビタミンであるビタミンA、C、E、β-カロチンと、セレニウムを含むサプ
リメントの長期摂取が、中~高齢者の死亡率にどのような影響を及ぼすかを調べたものです。
これまでに公表された多数の研究結果の中から無作為に68件を選び、さらにそれらを方法論的
に信頼性の高い研究と低い研究に分け、「メタ解析」によって全体として何が言えるかを調べました。
その結果、全研究のデータ(延べ約23万例)から、セレニウムは有意に死亡率をやや下げるが、
その他については、死亡率を上げも下げもしないと結論づけられました。
しかし、信頼性の高い研究(47件)に絞って調べると、β-カロチンは7%、ビタミンAは16%、ビタミ
ンEは4%、全体として5%、それぞれ有意に死亡率を高めてしまうという結果になりました。
論文としては、きちんとした統計分析を行っていて、正しい結論を導いていると思います。

しかし、論文をよく読んでみると、元データにいくつか問題点があることがわかります。
まず、68件の引用研究のうち51件が臨床研究で、心疾患、ガンなどの疾病の罹患者を対象とし
ており、健常者を対象とした研究はわずか17件のようです。
このような場合、試験開始時での病状や、薬物治療との相互作用などが強く結果に影響する危
険性があります。
抗酸化サプリメントに「心疾患を改善する」、「ガンの進行を予防する」などの薬理効果を期待する
ため、そもそも臨床研究の数が多いのだと思います。
しかし、サプリメントは本来「薬」ではなく、さまざまな理由で不足しがちな栄養素を補給するもの
であるはずで、これに薬効を期待すること自体が問題です。
ちなみに、健常者を対象とした研究のデータのみを個別に見ていくと、17件中7件で死亡率はや
や低下し、残り10件は例数不足で結論できない、というように解釈できます。

適切な量が重要では?
さらに、サプリメントの与え方があまりに多様です。
1種のビタミンを単独で与えるものから、すべてを複合して与えるものまであり、またそれらの投与
量も広範囲です。
例えば、ビタミンAでは1,333~200,000(IU)、Eでは10~5,000(IU)の範囲にわたっています。
ビタミンA、E、β-カロチンなどは脂溶性で、代謝・排出されにくいため、過剰摂取はもとより問題です。
実際、これらには50%致死量(実験動物に投与して、50%の個体が死亡する量)が定められてい
ます。
「運動が心臓病を予防する」ことは今や大勢が認めるところですが、その根拠となっている
パッフェンバーガーの研究では、心筋梗塞の罹患率が、1週当たり2000~3000 kcal の運動によ
り半減し、それ以上の運動では再び上昇することが示されています。
脂溶性ビタミンの場合にも同様に最適量があると考えられます。

寿命とは何か
研究論文で示されている「死亡率」、「心疾患の罹患率」、「ガンの罹患率」などが軽はずみに「寿
命」に置き換わってしまうことも問題でしょう。
寿命は、年齢と死亡率の関係から評価すべきものです。
ヒトの場合、死亡率は50歳を超えると指数関数的に上昇し、死亡率100%になる年齢が「最長寿
命」となります。
日本人では約120歳です。
死亡率50%(=生存率50%)となる年齢が平均的な寿命(いわゆる「平均寿命」ではありません)
といえます。
このように、死亡率そのものが年齢の影響を強く受けますので、サプリメントの効果に関しても、
「50%生存年齢を延伸するか?」という見方での研究が実際には必要です。
抗酸化ビタミンが対象ではありませんが、私たちが最近行った研究を1例としてご紹介しましょう。

寿命は変わらないが活動量が上がった
私たちは、分岐鎖アミノ酸を中心としたアミノ酸サプリメントの継続摂取が、マウスの生存曲線に
及ぼす影響を調べました(工藤ら、昨年の抗加齢医学会で発表)。
生まれてから死亡するまで、足かけ2年間、250匹のマウスを飼い続けるという大変な実験でした
が、最長寿命、50%生存齢のいずれについても、アミノ酸摂取群、カゼイン摂取群(対照群)、通
常餌摂取群の間で全く差が出ませんでした。
「サプリメントで寿命が簡単に変わるはずがない」と当初から考えていましたので、これはある程
度予想された結果でした。
ところが、マウスの1日当たりの活動量を赤外線センサーで測ると、アミノ酸摂取群が、高齢になって
も他の2群より有意に高いことがわかりました。
一般に、小動物の寿命はエネルギー消費量に反比例するとされていますので、これは重要な結
果だと考えています。
ヒトの場合に置き換えれば、「寿命は変わらないが、QOLが上がる」といえるのではないかと思い
ます。

石井直方 東京大学大学院教授 理学博士

Kentaiニュース187号(2008年12月発行)より転載

筋肉痛と筋の損傷は無関係?:筋肉痛研究の新しい展開

トレーニングを行う者にとって、筋肉痛はきわめて身近なテーマと思われます。
また、一般人にとっても、慣れない運動の後の筋肉痛はいやなものであるらしく、運動会のシーズン
などには、頻繁にマスコミ関係から筋肉痛に関する質問を受けます。
広い意味での筋肉痛にはいろいろな種類のものがありますが、一般に「筋肉痛」と呼んでいるも
のは、「遅発性筋痛」といって、運動やトレーニングの翌日、あるいは2日後に遅れてやってくるも
のを指します。
この筋肉痛の発生メカニズムについては、これまで「筋の微細な損傷に伴う炎症反応によるも
の」という定説があり、私たち研究者もこれを受け入れてきました。
ところが、最近になって、新しい説につながる研究も現れはじめています。
この新しい説は、筋肉痛にまつわる様々な疑問点を解消してくれる魅力的なものですので、その
概略をご紹介したいと思います。

筋肉痛のメカニズムに関する諸説・定説
筋肉痛のメカニズムに関する古い説に、「乳酸説」があります。
これは、高強度の運動によって筋で生成された乳酸が筋肉痛の原因であるとするものです。
確かに、筋の中にある化学受容器は、乳酸や水素イオンなどのさまざまな物質を受容し、「痛み」
感覚を生じさせます。
運動直後に起こる筋肉痛(筋が重く、だるく感じる)にはこれが関係している可能性はありますが、
遅発性筋痛が起こる頃には、乳酸などの代謝物質は筋から完全に除去されていますので、この
説はありえないということになります。

一方、下り坂を走る、重い負荷を下ろすなど、筋が伸張性収縮を繰り返すと、強い筋肉痛が起こり
ます。
このとき、筋線維に微細な構造的損傷が見られること、筋線維内のタンパク質(筋損傷マーカー)
や、炎症反応によって発現するタンパク質(炎症マーカー)が血漿中に現れることなどから、「伸張
性収縮による筋線維の微細な損傷に伴う炎症反応によって筋肉痛が起こる」という説が生まれ、
定説となって多くの研究者に支持されています。

定説への疑問
この定説はそれなりに説得力があり、筋肉痛に関する質問を受けたときには、これを説明するの
が常でしたが、完全に納得できるというものではありませんでした。
まず、筋肉痛に関わる研究の多くが、「筋を壊す」ことを前提にしているような、過激な伸張性負
荷を課していることが問題です。
私の研究室では、ラットに伸張性トレーニングを負荷するモデルを使っていますが、効果的に筋肥
大を引き起こすような、通常の負荷強度では、明確な筋損傷や、著しい炎症反応の亢進は見ら
れません。
ヒトの場合にも、筋損傷に至らないようなマイルドな運動が筋肉痛を引き起こすこともあります。
また、強い運動と無関係に、「肩こり」のような筋肉痛に類似した現象も起こります。
さらに、筋肉痛は持続的に起こるのではなく、筋を圧迫したり、動かしたりしたときにのみ起こります。
これらは、定説ではうまく説明できません。

新しい動物モデル
「筋肉痛」に関する研究が十分に進展してこなかった理由のひとつに、筋の構造分析や生化学的
分析を存分に行える動物実験モデルがなかったことがあります。
動物は「痛い」と言ってくれませんので、どの程度筋肉痛が起こっているのかを知ることができま
せん。
ところが最近、Mizumuraらのグループが、ラットの後肢筋に針で圧迫を加え、どのくらい強く圧迫
したときにラットが脚を引っ込める反応を示すかで筋肉痛を数値化するモデルを用い、興味深い
研究結果を続々と報告しています(Muraseら、2010、など)。

筋肉痛に関する新たな仮説
この動物モデルを用いた研究で、伸張性筋力発揮を繰り返した後に、確かに筋肉痛が起こること
がわかりました。
ところが、筋肉痛を示した動物の筋を調べると、筋線維の損傷も、炎症反応も起こっていない場
合が多く見られました。
その代わりに、ブラジキニン(BK)、神経成長因子(NGF)などの発現増加が見られ、特に、NGF
の抗体を与えてそのはたらきをブロックすると、筋肉痛の発生が抑えられることなどもわかりました。
これらの結果に基づいて、Mizumuraらは、次のような仮説を提唱しています:1)伸張性収縮によって
筋線維からATPやアデノシンなどが漏出し、これらが血管内皮細胞からBKを分泌させる;2)BKは
筋線維にはたらき、筋線維からNGFを分泌させる;3)NGFは筋内の機械刺激受容器(圧受容器)
にはたらき、その感度を上昇させる;4)その結果、通常では圧受容器を刺激しないような軽度の
圧迫や筋収縮にも圧受容器が過敏に反応し、痛みが生じる。

筋肉痛はひとつではない?
この仮説は、まだ細かい点で検証の余地を残していますが、定説にまつわるさまざまな疑問点を
見事に解消してくれる点で、きわめて魅力的に思います。
この仮説が正しければ、筋肉痛と筋の損傷・炎症には直接的な関係はないということになります。
一方、過激な運動による筋の損傷が、別のメカニズムで筋肉痛を引き起こす可能性もあります。
「遅発性筋痛」にもいくつかの種類があり、より細かい分類が必要となってくるかもしれません。


石井直方 東京大学大学院教授 理学博士

Kentaiニュース192号(2010年7月発行)より転載

プロテインの歴史

日本にプロテインが登場したのは、1980年頃といわれています。
大豆を原料としたプロテインで、当時は一部の専門店かボディビルジム、または通信販売でしか
入手できませんでした。
1kgで5,000円と、値段は現在とそれほど変わりません。(1985年のプロテインラインアップ)
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その後、ココア味などフレーバーのついたものやタブレットタイプなどが発売され、原材料も動物
性の卵や牛乳などを使用したものが登場してきます。
そして、1990年代の後半に、ホエイプロテインが登場します。

ホエイプロテインは牛乳から乳清と呼ばれるたんぱく質だけを取り出して、精製したプロテインです。
筋肉の発達に欠かせないBCAAを多く含み、味も飲みやかったため、ホエイはボディビルダーを
中心に人気を集めていきます。

ホエイプロテインの登場からすでに10年経過しましたが、プロテインは味や品質、機能性などさら
に進化を続けています。 (現在のプロテイン ラインアップ)

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アスリートインタビュー ラグビー・矢富勇毅 選手 第1回

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矢富勇毅(やとみ ゆうき)
1985年2月16日 京都府出身 176cm、82kg
所属 ヤマハ発動機ジュビロ
ポジション スクラムハーフ


-ラグビーを始めたのはいつからですか?

本格的にラグビーを始めたのは、中学からです。
当時はやせていて、高校入学時で170センチ、56キロでした。
高校時代は1日6食くらい食べて、ウエイトトレーニングも毎日やって、3年間で20キロくらい体重を
増やしました。
結構ハードでしたが、当時は、あまり疲れたと感じなかったというか、逆にカラダが大きくなってい
くのがうれしかったですね。

-現在はどのようなテーマでカラダづくりに取り組んでいますか?

今でも試行錯誤は続いています。今年は、まずカラダを大きくし、その後、筋肉を維持しながら、
目標値まで落としていきます。
このオフで体重を92キロまで増やしました。
以前も、これくらい体重が増えたこともあったのですが、そのときは落とし方を失敗してしまいました。
走りこみだけで体重を落とそうとしたため、筋力もがたんと落ちて、調子も崩してしまったのです。
今回はウエイトで筋肉を維持しながら絞るようにしています。
ただ、体重よりも意識しているのは体脂肪率で、シーズン中は10%以下のコンディションに仕上
げる予定です。

-現在、使用中のサプリメントは?

カルシウムリッチホエイバイオアクティブ・ホエイプロテインBCAAシトルリンプラス
メガパワー・マルチビタミン&ミネラルです。
練習後などはカルシウムリッチホエイ、就寝前はバイオアクティブホエイを、BCAAシトルリンプラ
スとマルチビタミン&ミネラルはいつでも摂れるようにしています。
特にBCAAシトルリンプラスは疲れたときや、練習前、練習後にも摂っています。
これを摂るようになってから、ウエイト後の筋肉痛の感じが違ってきました。
おかげで良いサイクルでトレーニングが出来ています。
プロテインは1日3回、食事や練習のタイミングにあわせて量は調整しますが、1回に大サジ3杯、
1日のトータルでだいたい9杯くらい飲んでいます。
カラダからたんぱく質がきれないように、練習や食事の予定を考えながら摂っていて、特に練習
後は絶対飲むようにしています。
飲むときは、無脂肪の牛乳で、牛乳が無ければ水でも飲みます。
現在、ベンチプレスも過去最高の重量でトレーニングできていて、見た目もかなり変わってきました。
体重を落としているのにもかかわらず、パワーを維持できているので、プロテイン補給の重要性を
改めて実感しています。
あと、クレアチンはシーズンに入ったら絶対使いたいサプリメントです。
以前、3週間使ったことがありましたが、そのときのウエイトの伸び方が、自分でも驚くくらいだった
ので、これはシーズンになったらしっかり使いたいなと思っています。
今シーズンはその意味でも楽しみです。

-矢富選手がKentaiを選んだポイントはどこでしょうか?

最初にひかれたのは味でした。BCAAシトルリンプラスは特においしかったです。
その後、Kentaiを調べてみると、30年以上の歴史のあるスポーツサプリの専門メーカーだとわかって、
これはすごいなと思いました。
「餅は餅屋」といいますが、プロテインやスポーツサプリメントに特化しているということは、このブ
ランドは信じられると思いました。

-最後に、カラダを大きくしたい選手へのアドバイスをお願いします。

まず、しっかりした知識を持つことです。
食事やプロテインの飲み方など、その年代やレベルにあった方法も含めて、しっかりと学ぶべき
です。私自身の反省から言えば、がむしゃらに量を食べることも大切ですが、それだと、余分な脂肪も
付いてしまうし、結果的に時間がかかってしまいます。
さらに上のレベルを目指すのであれば、無駄を省いて効率よくカラダを作ることが必要です。
その上で、やるべきことをしっかりとやれば、必ず結果はついてきます。


Kentaiニュース192号(2010年7月発行)より転載

コエンザイムQ10をめぐる論争:「元気」と「長寿」の関係

日本抗加齢医学会という学会の大会に参加しました。
この学会では最近、コエンザイムQ10(CoQ10)のアンチエイジング効果に関する論争が展開し
ています。
この問題は、「活動的でいること」と「長寿であること」の関連性という、根の深い命題にも関わって
いるといえます。

マウスの寿命と活動量
「元気で長生き」は勿論理想ですが、元気=活動的と捉えると、やや複雑な問題になります。
私たちの研究室では、高アミノ酸食がマウスの寿命に及ぼす効果を約3年にわたって調べ、上記
の学会で報告しました。
この研究では、高アミノ酸食の摂取が、高齢期の筋量と身体活動量の低下を防止するものの、寿
命そのものには影響しないという結論になりました。
すなわち、少なくとも実験室での飼育という状況では、「元気で=活動的」は必ずしも「長生き」に
はつながらないことになります。

CoQとは
さて、問題となっているCoQは、ユビキノンとも呼ばれる脂溶性の物質で、生体内ではコレステ
ロールなどと同様に脂肪酸から合成されます。
CoQ10は、CoQの中で10個の炭素からなる鎖をもつものをいいます(ここでは、CoQ10として限
定されない場合には単にCoQと記載します)。
細胞内のミトコンドリアの内膜に存在し、「電子伝達系」という反応経路の補酵素として重要なは
たらきをします。
電子伝達系は、有酸素性代謝系の最終段階に相当する反応系で、脂質や糖質のエネルギーを
用いて多量のATPを合成するための主要部を構成します。
したがって、CoQはエネルギー代謝のために不可欠の物質といえます。
こうした観点から、CoQ10は、我が国では1974年に心不全の治療薬として認可され、2001年か
らはサプリメントとしても売られるようになりました。

加齢とともにCoQは減る
Kalenら(1989)は、さまざまな組織中のCoQ10含量を調べ、20歳を過ぎると加齢とともに減少す
ることを示しました。
特に、心臓での減少が著しく、80歳までの間に半分程度にまで減少してしまうようです。
したがって、この加齢による減少分を外から補うことが、心臓やその他の組織での代謝活性の低
下を防ぎ、アンチエイジングにつながると期待されるようになりました。

CoQと寿命
ところが、CoQが減ると、逆に寿命が伸びることが、動物実験で示されました。
線虫(ハリガネムシ)には、「クロック-1」(clk-1)という遺伝子があります。
この遺伝子を破壊した線虫を作ると、寿命が野生型に比べて50%も伸びることが報告されました。
このclk-1は、CoQを合成する酵素をつくる遺伝子なので、長寿の線虫は、CoQを合成する能力
がないことになります。
しかし、線虫は餌とする大腸菌からCoQを摂取していますので、clk-1を壊しても体内にCoQが全
くないというわけではありません。
CoQを外から与えないと、clk-1を壊した線虫は幼虫期に死んでしまいます。
一方、野生型の線虫でも、幼虫期にはCoQを与え、その後CoQのない餌を与えると寿命が延び
ることが報告されました(Larsenら、2002)。
マウスやヒトにも同じclk-1遺伝子があり、CoQの合成に関わっています。
ヒトやマウスのclk-1遺伝子を、clk-1を壊した長寿線虫に導入すると、野生型と同じレベルまで寿
命が縮まることも明らかにされています(Takahashiら、2001)。
このように、少なくとも線虫では、CoQは「無ければ死に至るが、多いと寿命を縮める」という、「両
刃の剣」のようなはたらきをもちます。
これには、おそらく次のような機構が関わっています:CoQはミトコンドリアによるATP生成に不可
欠の物質で、ミトコンドリアによるATP生成が極度に低下するとアポトーシスという細胞死が起こり
ます。
一方、CoQが補酵素としてはたらく反応では、スーパーオキシドという活性酸素もつくられ、活性
酸素が増えると、ミトコンドリアの機能不全や、さまざまな細胞機能の低下につながります。
さらに複雑なことに、CoQそのものが、こうしてできた活性酸素をトラップする抗酸化物質としても
はたらきます。

どのように考えたらよいか?
以上のような研究から、現在のところCoQ10のアンチエイジング効果に関しては賛否両論があり
ます。
ただし、実験室内での飼育という条件が、普通の生活環境と大きく異なる点には注意が必要で
しょう。
例えば、サルなどの高等哺乳類を含め、飼育下での動物の寿命を延ばすには、エネルギー摂取
量を減らすことが最も効果的です。
上記のclk-1を壊した線虫の場合にも、摂餌量も活動量も極度に低下した状態で生き長らえます。
私たちヒトの場合でも、エネルギーの摂取も消費も少ない状態、極論すると「冬眠」のような不活
性状態にすれば、最も寿命が伸びるのではということになります。
しかし、これでは「健康」という概念からかけ離れてしまうでしょうし、さまざまなストレスにさらされ
る日常生活を生き抜くことができるかは疑問です。
価値観にも依存するでしょうが、あくまでも「活動的である」ことを目標にし、「長寿」は結果として
捉えることが現実的でしょう。
CoQ10についても、「疲れやすくなった」と感じたら、過剰にならない範囲で摂取するのがよいと
思います。

石井直方 東京大学大学院教授 理学博士

Kentaiニュース190号(2009年12月発行)より転載

夕暮れ

20100817.jpg実家の風景です。
夕焼が山や田を照らし風情があります。
子供たちが、日が暮れるまで、外で元気に遊んでいました。

Kentai 小林

【おすすめ】 バイオアクティブホエイプロテイン

セカンドハンド・スモーカー

  • カテゴリ:健康
  • 2010.08.16

最近、多くの人が集まる公共施設のほとんどが禁煙になっています。
オフィスでも禁煙が広がり、タバコを吸う人にとってますます肩身が狭くなっています。

禁煙が厳しくなるのは、タバコが、健康障害を起こす恐れがあるからです。
しかし、アメリカでは、他人のタバコの煙が原因と考えられる死亡者数が上昇していると、
ワシントンのAP通信でローラン・ニールガードさんがレポートしています。

カルフォルニア大学のベノワイズ医師は、次のように警告します。
「あなたが心臓病のリスクをかかえているのであれば、他人のタバコの煙を吸ってしまうセカンド
ハンド・スモーカーにならないように注意することです。タバコを全く吸わない人でも、他人が吸う
タバコの煙が原因で、多くの人々が肺癌や心臓病で命を落としています」

禁煙化により、レストランなどでの客の減少、オフィイスでの従業員の反発等が危惧されるという
論議もあります。
しかし、米国疾病対策センターのフリーデン所長は言います。
「レストランやオフィイス内を禁煙にしてもビジネスに大きな影響はありません。さらにタバコを吸
わない人への良い影響をもたらすため、禁煙化は心臓病を持つ多くの人々のためになります」

セカンドハンド・スモーカーにとって、どれだけの煙なら安全かという基準はありません。
特に心臓病を持つ人にとって、少しの煙を吸い込むことでも、リスクを高めることになります。
一般的にタバコを吸うと肺癌になると思われていますが、アメリカでは心臓麻痺などの心臓病の
約3割は喫煙と関係があると言われています。
環境衛生の専門家が、アメリカ、カナダ、イタリア、スコットランドで禁煙法がセカンドハンド・スモ
カーに対してどれだけの効果を及ぼすかを調査したところ、これらの国では心臓病が6~47%も
減少したことを発見しています。

最後に、禁煙運動を促進しているニュージャージー州の代議士は主張します。
「人々にはタバコを吸う権利がある。しかし、タバコを吸わない人の健康を阻害する権利は認めら
れない」

山口澄郎 グローバルヘルス&フィットネス より転載

夏季休業のお知らせ

期間:2010年8月11日(水)~2010年8月15日(日)

上記期間中は休業日とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

菅平

100810-320.jpg先日、長野県菅平高原に行って来ました。
現在、全国からラグビー部が合宿に来ています。
グラウンドでは選手たちが朝から夕方まで泥まみれで楕円形のボールを追っていました。

Kentai 上野

【おすすめ】 ウェイトゲインアドバンス

公武堂MACS

20100809-320.jpg
名古屋の中心地に格闘技専門店「公武堂MACS」がございます。
Kentai製品をはじめ、多数品揃えしております。
皆様のご来店お待ちしております。

公武堂MACS
住所:〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須3丁目5-15 
電話:052-241-2511

Kentai 中林

高齢者のレジスタンストレーニング

  • カテゴリ:
  • 2010.08.06

増える老人の転倒事故
1999年の10月11日付けの朝日新聞に「お年寄り転ばないで」という記事が掲載されていました。
高齢者がふとしたはずみで転倒し、大腿骨基部を骨折して「寝たきり」になったり、そのまま亡く
なったりする事故が増えてきました。
また、転倒事故がきっかけとなって痴呆が発症したという事例もあります。
アメリカ合衆国では、こうした高齢者の転倒事故が、10年前からすでに注目されていました。

25年後の高齢者人口
総務庁統計局の発表している1998年度の人口分布表を見ると、45~55歳の区分に、ひときわ
大きなピークのあることがわかります。
戦後の「第一次ベビーブーム」に生まれた人たちで、いわゆる「団塊の世代」です。
20~25年後には、この世代が大波のように高齢者層に突入します。
このとき、65歳以上の高齢者人口は現在より2,000万人近く増え、3,500万人を大きく超えると予
想されます。

要介護人口は500万人を超える?
この増大した高齢者人口のうち、何らかの介護の必要な人口(要介護人口)がどの位になるかが
問題です。
厚生省では、現在よりも260万人増えて、約520万人になると予測していますが、甘い見通しかも
しれません。

要介護人口を増やさないことこそ重要
将来のこうした要介護人口の増加は、企業にとってはまたとないマーケットになるでしょう。
実際、介護支援にかかわる機器の開発や、介護資格に関わる講座開設などの競争がすでに始
まっています。
しかし、ことの本質が見失われているようでもあります。
それは、「いかにして要介護人口を増やさないようにするか」という問題です。

加齢とともに急速に衰える膝伸筋
以前にもお話ししたかと思いますが、ヒトの筋の中で、加齢の影響を最も強く受けるのは膝の伸
筋(大腿四頭筋)です。
30歳から80歳までの間に、この筋の断面積と筋力はともに、平均40%にまで低下します。
しかも、速筋線維により著しい萎縮が起こります。
膝伸筋の速筋線維は、立ったり座ったりする場合だけでなく、「階段を下りる」「転びそうになったと
き、すばやく体制を立て直す」ような場合に重要です。
また、体幹の姿勢を維持する筋群も加齢の影響を比較的強く受けます。
要介護となる原因がすべてこれらの筋にあるわけではありませんが、「筋、骨格系の機能保持や
機能回復」か、重要なキーワードとなることは明らかでしょう。

レジスタンストレーニングの重要性
普段から活達な高齢者はあまり心配ではありません。
一方、数年後に転倒したり自立不能に陥る危険性のある「要介護予備群」に対して、短期に、最
も効率的に筋・骨格系の機能回復をはかることは重要です。
これには、レジスタンストレーニングが最適です。
こうした予備群を特定する方法を探すのが私たちの役割となり、彼らに安全にトレーニングを指導
するのが現場の役割になるでしょう。

石井直方 東京大学大学院教授 理学博士

Kentaiニュース139号(2000年2月発行)より転載

暑中トレーニングのすすめ(?) 

猛暑が続いていますが、夏はビルダーに限らず他の多くの競技の選手にとっても一年中で最も重
要な季節でしょう。
私がコンテストに出ていた当時、猛烈な暑さの中で、連日滝のように汗を流しながらトレーニング
していたことを覚えています。
近年では高温環境でのトレーニングが熱中症の危険を伴うことが広く知られるようになり、冷房の
ないジムの方がむしろ珍しくなったようです。
しかし、私の実感としては、猛暑の中でのトレーニングが、秋のミスターユニバースやミスター日
本に向け、体にみがきをかける上で重要な要因となっていたように思えてなりません。
これに関連した興味深い研究結果が報告されましたのでご紹介します。

高温ストレスと熱ショックタンパク質
温度環境とトレーニング効果の一般的関係については、以前にもお話ししました。
その中で、私たちの体をつくるタンパク質の多くが、約41℃以上の温度にさらされると熱変成を始
めることに触れたかと思います。
私たちの体は、こうした熱ストレスに対処するための防御機能を備えていて、そのひとつが「熱シ
ョックタンパク質」(Heat Shock Protein-以後 HSPと略)の生成です。
HSPには、分子量の小さなものから大きなものまでさまざまなものがあり、体の組織が高温にさ
らされると、その合成が高まります。
また、力学的ストレスなどのさまざまなストレスによってもつくられることが分かってきていますが、
運動やトレーニングとの関連性についてはまだ十分に解明されていません。

熱ショックタンパク質のシャペロン作用
HSPの機能は一言では説明しきれませんが、大まかにいうと、さまざまなタンパク質のまわりに
「寄り添う」ように結合して、タンパク質を熱変成や分解酵素によるアタックから守ります。
すまわち、タンパク質を「防護」するはたらきがあり、このような作用を「シャペロン作用」と呼びます。

高温処理が筋萎縮を低減した
このように、HSPにはタンパク質分子を防護する作用がありますので、「筋を一時的に高温にさら
し、あらかじめHSPをつくらせておけば筋の分解が低下するかもしれない」という発想も可能です。
そのような発想に基づく、興味深い研究がNaitohら(2000)によって報告されました。
実験には、ラットの後肢を懸垂(宙吊り)した状態で飼育し、後肢筋を萎縮させるという「廃用性萎
縮モデル」が用いられました。
これを2週間ほど続けると、特にヒラメ筋で顕著な萎縮が起こり、筋重量は半分程度にまで低下し
ます。
ところが、後肢懸垂をする前に、ラットを41℃の高温室に1時間置くと、ヒラメ筋の萎縮が30%ほ
ど低減されたのです。
さらに、高温処理をしたラットの筋では、後肢懸垂中にHSP-72というHSPの合成が高まってい
ることが分かりました。
HSPそのものが筋萎縮を低減するのかどうかはまだ議論の余地がありますが、一時的な高温環
境が、筋の分解を低減するのは確かなようです。

高温を利用する療法
高温処理が、筋やその他の組織に良好な効果を及ぼし、傷害などの治癒を促進することは経験
的にも知られていて、さまざまな療法に利用されてきました。
身近なところでは、温泉療法やサウナなどがあります。
また、外科的傷害では多くの場合、まず患部を冷やし、炎症が治まってから温めます(温熱療法)。
マイクロ波やレーザーなど用いた治療でも、局所的に患部を熱することになります。
一方、近年よく行われる「アイシング」は、一見全く逆のことのようです。
これは、酷使した筋を氷冷することで、微小な筋損傷による炎症の進行や分解酵素の活性化を
抑えることを目的としますが、極低温から常温へ戻したときの温度差が「熱ショック」と同様の効
果をもつ可能性があります。

「加温トレーニング」の可能性
このように考えると、筋を温めたり冷やしたりすることは、トレーニング効果と無関係ではなさそう
です。
筋のサイズは筋タンパク質の合成と分解のバランスで決まりますので、分解を少しでも抑えられ
れば、トレーニングはさらに効果的になるでしょう。
前述の「猛暑の中でのトレーニング」は、結果的に筋温を上昇させ、減量中にもかかわらず筋分
解を抑えてくれるのかもしれません。
また、「日焼け」をすると、皮膚が黒くなると同時に、筋サイズを保ちながら皮下脂肪を減らすよう
な効果があります(ビルダーはお分かりと思います)。
これは、日光浴による体表温の上昇と関係しているかもしれません。
局所的に筋を加温・冷却できる装置を作り、「加温トレーニング」を試みると面白そうです。
などなど、想像をめぐらすときりがありません。
これらはすべて将来の研究課題です。
当面、目的とする筋のその周辺をサポーターなどで保温してトレーニングしてみること、ゆったりと
風呂に入ること、サウナを利用することなどは試す価値があるかもしれません。
一方、高温環境下でのトレーニングについては、あまりに体温(コア体温)が上昇すると熱中症に
なり、生命にも危険が及びますので、くれぐれも注意が必要です。

石井直方 東京大学大学院教授 理学博士

Kentaiニュース142号(2000年8月発行)より転載

成長ホルモンは体脂肪を減らすか?

前回、15年ぶりのコンテスト復帰戦が、全日本クラス別選手権6位(2001年)に終わったことを報
告しました。
その後、体調の回復が順調に進んだこともあり、社会人マスターズ大会で、優勝することができま
した。
今回のトレーニングの特徴は、エアロビクスを全く行わなかったこと、「加圧トレーニング」を導入し
たこと、食事制限をあまり行わなかったことです。
にもかかわらず、体脂肪が予想以上に減ってくれました。
この一要因として、成長ホルモンのはたらきがあげられるでしょう。

アナボリズムとカタボリズム
私たちのからだは、エネルギーを得るために、グリコーゲン、中性脂肪、タンパク質などの大きな
分子を小さな分子に分解していて、これをカタボリズム(異化)と呼びます。
一方、組織や器官をつくり、維持するために、アミノ酸、グルコース、脂肪酸などの分子からさらに
大きな分子を合成していて、これをアナボリズム(同化)と呼びます。
異化と同化を合わせて代謝と呼びます。
代謝に関わるホルモンは、主として異化を刺激するもの(カタボリック・ホルモン)と同化を刺激す
るもの(アナボリック・ホルモン)に大別できます。
前者の代表例はコルチゾールやアドレナリン、後者の代表例はインスリン、成長ホルモン、男性
ホルモンなどです。

成長ホルモンは「二刀流」
そもそも成長ホルモンはアナボリック・ホルモンですので、ほとんどの細胞や組織の成長を促すも
のと長い間考えられてきました。
脂肪組織をつくる脂肪細胞もその例外ではありません。
ところが、1980年代になって、成長ホルモン欠損症(GHD)が体脂肪の増大を伴うこと、GHD患
者に成長ホルモンを投与すると体脂肪が減少することなどが次々とわかってきました。
そして現在では、成長ホルモンが筋や骨などに対してはアナボリックな作用をもち、体脂肪に対し
てはカタボリックな作用をもつという、「両刀使い」であることが、疑いのない事実として受け入れら
れるようになってきました。

成長ホルモンの分泌リズム
成長ホルモンは脳下垂体から分泌されますが、その分泌は、15分ほどでピークに達し、60分ほど
で元に戻るというように、「パルス状」に起こります。
成人では、こうしたパルス状の分泌が1日8回ほど起こります。
その大きさには大小があり、睡眠後に大きな分泌が起こることはよく知られます。
加齢とともに、1日当たりの分泌回数と分泌のピーク値の両者が減少していきます。
一般成人では1回の分泌量の平均値は血中濃度にして15〜20μg/l とされています。

1回の注射で脂肪が分解された
臨床で多量の成長ホルモンを投与する場合ではなく、こうして自然な状態でパルス状に分泌され
るような程度の成長ホルモンによっても体脂肪は分解されるのでしょうか?
これに対する解答が、Moller らによる最近の一連の研究によって明らかになりました。
彼らは、200μgの成長ホルモンを静注して血中成長ホルモン濃度のピーク値が約18 μg/l にな
るようにし、その直後の体脂肪の分解を調べました。
体脂肪は、脂肪細胞の中で中性脂肪として蓄えられています。
脂肪細胞は必要に応じ、これを脂肪酸とグリセロールに分解し、血液中に遊離します。
したがって、血中の脂肪酸とグリセロールの濃度は、体脂肪の分解の指標になります。
上記のように成長ホルモンを1回注射した結果、その2時間後には血中脂肪酸、グリセロールとも
に約2倍に増大し、自然におこる程度の成長ホルモンの分泌が、体脂肪の分解を引き起こすのに
十分であることが示されました。

腹の脂肪と太腿の脂肪の違い
Moller らのグループはさらに、「マイクロダイアリシス」という方法を用い、腹部の皮下脂肪、大腿
部の皮下脂肪のそれぞれの組織で局所的に遊離されるグリセロールの濃度を調べました。
その結果、成長ホルモンの投与によって、腹部の脂肪の方が、大腿部の脂肪に比べ、多くのグリ
セロールを遊離することが示唆されました。

細胞レベルのメカニズムは?
培養したヒト脂肪細胞に成長ホルモンを与えると、生体内の場合と同様、脂肪酸とグリセロール
が培養液中に遊離されます。
しかし、成長ホルモンがどのようなメカニズムで脂肪分解を促すのかはまだよくわかっていません。
脂肪細胞中で脂肪分解を担うのは、「ホルモン感受性リパーゼ」という酵素です。
この酵素を強く活性化するのはノルアドレナリンで、成長ホルモンではありません。
成長ホルモンはおそらく遺伝子にはたらいて、この酵素自体の生合成を促すのであろうと想像さ
れています。

成長ホルモンを分泌させるトレーニング
以前、筋中の乳酸濃度を高めるようなレジスタンストレーニングがノルアドレナリンと成長ホルモン
の分泌を強く促すことをお話ししました。
したがって、こうしたトレーニングは体脂肪、特に腹部の脂肪を減らすのにも効果的と思われます。
その典型が「加圧トレーニング」ですが、一般的なトレーニングでも、成長ホルモンの分泌を促す
さまざまな工夫が可能です。
この点については、最新の情報も含め、改めてご紹介します。

石井直方 東京大学大学院教授 理学博士

Kentaiニュース149号(2001年10月発行)より転載

筋の記憶力?

2001年7月、日本ボディビルクラス別選手権(85 kg級)に出場しました。
15年ぶりの大会復帰でした。
結果は6位と不本意なものでしたが、コンテストに出場できたというだけで幸せでした。
その年の1月には、「少し体のよい普通の人」程度の体で、しかも右肩の慢性障害のために満足
なトレーニングができない状態でしたので、6ヶ月で日本レベルの大会に出場できるまで回復した
こと自体、不思議でなりません。
まるで、15年前の「記憶」が筋に残っていたかのようです。
実際、しばらくトレーニングを中断し、体が萎えてしまっても、トレーニング再開後早期に筋のサイ
ズが回復したという経験をお持ちの読者も少なくないと思います。
そこで今回は、「筋の記憶」について考えてみます。

核の「なわばり」
ご存知のように、筋線維は長さ数センチにも及ぶ巨大な細胞で、多くの核をもつ「多核体」です。
核の中には遺伝子があり、タンパク質を合成して筋線維を太くする最初のステップはこの核の中
の遺伝子で起こります。
最近の研究から、ひとつの核が支配できる細胞の体積には上限があると考えられるようにな
り、"nuclear domain" (核の支配領域)と呼ばれるようになりました。

筋肥大と筋線維核の増加
このように、ひとつの核の支配領域に上限があれば、筋線維が肥大できる程度にも上限があるこ
とになります。
これを超えてさらに筋線維が肥大するためには、筋線維に含まれる核の数が増えなければなら
ないでしょう。
実際、動物実験では、過負荷により肥大した筋線維で核数が増えていることが示されています。
逆に、萎縮した筋線維で核が減るかについては、減るとする研究と減らないとする研究があり、結
論が出ていません。

サテライト細胞の役割
筋線維のような多核体では、核だけが分裂して増えるということはありません。
したがって、どこからか核を輸入する必要があります。
この核の供給源となっている細胞は、おそらくサテライト細胞と呼ばれる細胞です。
サテライト細胞は、筋が形成される過程で、最終的に筋線維に分化せずに残った、「筋線維のも
とになる細胞」(筋芽細胞)です。
筋線維と、筋線維を包み込む「基底膜」という膜の間にあって、筋線維に寄り添うようにはりつい
ています。
これまで、サテライト細胞は、筋線維が損傷したときなどに分裂・増殖し、これを修復したり、新た
に筋線維を再生したりすると考えられてきました。
しかし、最近では、サテライト細胞がトレーニング刺激によって分裂・増殖し、もとの筋線維に融合
することによって、筋線維の核数を増やすのであろうと考えられるようになりました。
実際、マウス骨格筋にγ線を照射すると、サテライト細胞は分裂できなくなりますが、こうした状態
で筋に過負荷をかけても、筋線維の肥大が起こらなくなります。

筋線維の数と筋の大きさ
一方、サテライト細胞には、単独で新たな筋線維をつくる能力もありますので、トレーニングによっ
て、若干ですが筋線維の数が増える可能性があります。
実際、ラットでは、トレーニング後の筋の中に、細い筋線維が新たに出現します。
こうして筋線維の数が増えれば、「器」の数が増えますので、トレーニングを続けることによってさ
らに筋が肥大できることになります。

筋線維の数を決める物質
そもそも、生まれながらにして筋の中にある筋線維数には個体差があります。
筋線維の多い人はその分、トレーニングによって筋肥大しやすいといえます。
こうした筋線維の数を決める要因のひとつが、ミオスタチンという成長因子であることが分かって
きました。
ミオスタチンは、筋線維自身から分泌され、筋芽細胞の分裂を抑制することで、筋線維の形成と
筋肥大を抑えるはたらきをもちます。
胎児期には、このミオスタチンが多量に分泌され、分娩前の胎児の過剰成長を抑えています。
一方、出生後には、ミオスタチンの分泌量が低下し、著しい筋・骨格系の成長が起こります。
したがって、この時期のミオスタチンの分泌量の差によって、生来の筋線維数の差が決まると考
えられます。
さらに最近、マウスを用いた私達の研究から、筋に過負荷をかけたときにも、ミオスタチンの分泌
量が低下することが分かりました。
したがって、長年にわたりトレーニングを行うと、少しずつ筋線維が増えていくと考えられます。

筋の記憶の仕組み
これまで述べたことから、「筋の記憶」の仕組みについて、少なくとも2つの可能性が考えられます。
ひとつは、長年のトレーニングによって、筋線維内の核数が増え、トレーニングを中断し筋が萎縮
しても、核数は増えたままであるという可能性です。
このような状態であれば、筋線維はトレーニング再開後、比較的速やかに元のサイズに戻るでしょう。
もうひとつは、長年のトレーニングによって筋線維数が増えていて、たとえ筋が萎縮してもその数
は減らず、個々の筋線維が萎縮しているという可能性です。
この場合にも、トレーニングを再開すれば、筋のサイズは元に戻りやすいでしょう。
これらの両方が同時に起こることも、もちろん考えられます。
同輩の熟年ビルダーの皆さん、頑張りましょう。


石井直方 東京大学大学院教授 理学博士

Kentaiニュース148号(2001年8月発行)より転載

アメフト部セミナー

20100802-320.jpg先日、アメフト部で選手・保護者の方を対象に栄養セミナーを実施しました。
選手の栄養診断、食生活の改善とKentaiサプリメントのアドバイスなどです。
秋のシーズンでは、良い結果を期待しています。

Kentai 中林

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